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TOKYO MADE 革工房レポート

TOKYO MADE レザーダイアリーカバーの制作で目指したのは、
「上質で、かつ気軽に使える薄型の手帳」。
現代のニーズを取り入れながら、
DELFONICSらしいシンプルさを追及して、
東京の革職人とともに知恵を絞り、仕上げました。
細部へのこだわりの一つ一つは、熟練の職人による手作業で実現したもの。
マンスリータイプとウィークリータイプとでは工程が異なりますが、
ここでは、より工程の多いウィークリータイプを中心に、
完成までの様子を、革工房からレポートします。

「薄さ」のこだわり

スマートフォンやタブレットなどのデジタルツールと一緒に、
いつでもスマートに持ち歩ける手帳。
そして、手に取ったときに気持ちが高まる手帳。
それが「上質で、かつ気軽に使える薄型の手帳」を目指した理由です。
薄型に仕上げるための最初の工程は、
革の厚みを調整する「漉き(すき)」という作業です。

絶妙な色味が魅力の、国産牛革

TOKYO MADE レザーダイアリーカバーのために用意した革は、国産の姫路レザー。植物性の材料を使って鞣(なめ)され、染料で芯まで着色された上質な牛革です。革の風合いを生かしながら、主張を感じさせる絶妙な色味が魅力で、写真の革のカラーは「ダークターコイズ」。もともと3.0mmほどあった革から、マンスリータイプは2.3mm、ウィークリータイプは0.7mmまで、贅沢にも薄く漉いて使用しています。

二枚の革を、贅沢に貼り合わせ

ウィークリータイプが0.7mmと、マンスリータイプよりも薄く漉く理由は、二枚の革を貼り合わせるため。貼り合わせることで裏表ともに同じ素材の表情になり、その一体感がミニマムかつ高級感のあるプロダクトの印象へとつながります。一方でマンスリータイプは、カジュアル感を残すため貼り合わせは無しの一枚革に。同じ革から、「漉き」の時点で既に異なる2タイプへの準備が始まっています。

「化粧抜き」と呼ばれる、2回目の裁断

薄く漉き、型抜きをして、芯材を挟み貼り合わせた革には、再度「化粧抜き」と呼ばれる型抜きを行います。コバの断面をよりシャープに仕上げるため、最初の型抜きよりも一回り小さな型で抜く作業です。この工程は、一つずつ手作業。天然素材の革は伸びやすいため、貼り合わせの状態を確認しながら作業しなければならないのです。ここでも、職人の技術が必要とされます。

二枚合わせても、この薄さ

化粧抜きをした革が、こちら。「0.7mm」と数字で書いてしまうと、つい当たり前のもののように感じてしまいますが、1mmにも満たない厚みまで漉き、二枚を貼り合せまるで一枚革のように仕上げる。元々厚さのある革をあえて贅沢に使用したこの手法は、革製品の工法でも珍しく、職人の技術でなせる業。この手間のかかる工程が、最終的な完成度の高さにつながっています。

「縫製」のこだわり

TOKYO MADE レザーダイアリーカバーは、
本体とパーツの組み合わせでできています。
マンスリータイプは、一枚革の本体、ポケット、紐。
ウィークリータイプは、これまでの工程で見てきた二枚革の本体、袖、ポケット。
それぞれパーツの下準備ができたら、「縫製」の工程へ。
ここにも、職人の技術とこだわりが詰まっています。

ひと縫いで仕上げる、縫製技術

マンスリータイプは裏面のポケット部分のみを縫製することで、表面には全く縫い目が見えないミニマムな仕立てに。一方でウィークリータイプは、よりスタンダードに全体を縫製して仕上げています。このウィークリーを縫製するときにも光る、職人技。フチの部分からしっかりと2.5mmを取り、同じテンションで真っすぐに、一縫いで仕上げていきます。

2タイプで異なる、糸の太さとピッチ

ここでも、TOKYO MADE レザーダイアリーカバーならではのこだわりを一つ。縫製のための糸は、いずれも革と同色のものですが、マンスリータイプとウィークリータイプでは、その太さが異なります。高級感のあるウィークリーにはやや細め(写真左)、カジュアルなマンスリーにはやや太めの糸を採用(同右)。さらに、縫い目の幅であるピッチや、フチから縫製部分までの距離も変えています。

「磨き」のこだわり

これまで「薄さ」「縫製」という2つのこだわりを、
制作の工程の一部をのぞきながら、お伝えしてきました。
さて、次の工程は「磨き」です。
TOKYO MADE レザーダイアリーカバーの制作で、
一番の見どころとも言える職人技。
革を裁断した断面の「コバ」を仕上げていく工程になります。

断面を整える職人技「切り目本磨き」

コバの仕上げ方には種類があり、代表的な方法は「返す」「塗る」「磨く」こと。生地を返す「ヘリ返し」は厚みや強度の面から避け、また顔料などのコーティング材を塗る「コバ塗り」ではなく、今回採用した仕立て方法は、「切り目本磨き」。革そのままの良さに磨きをかけるよう、「カンナがけ→ペーパーがけ→溶剤の塗布→スリッカーやクロスでの磨き」と、作業を繰り返しながら断面を整えていきます。

上質な革が生きる、断面の仕立て

磨き上げた革の断面は、控え目な光沢感と滑らかな手触りに。職人の技術に加えて、植物性の材料を使い鞣した上質な革の良さも引き出されています。実は、本体の断面のみではなく、パーツの下準備でも切り目本磨きの工程は行われています。なお、切り目本磨きは、カンナを使う歴史がある日本の伝統技法で、世界の中でも得意とする職人技だそうです。

「仕上げ」のこだわり

切り目本磨きで仕上げたコバの繊細な仕上がりは、
ぜひ、手に取って見ていただきたいところ。
ここでは紹介しきれなかった細かな工程もありますが、
最後に、そのほかのこだわりをお見せします。
手帳の楽しさを知る人が、誰かにその楽しさを伝えたくなったとき。
その気持ちが贈れるよう、特別なボックスも作りました。
まずこの記事を読んでいただいた人に、
DELFONICSから、気持ちを届けられればと思います。

内側の袖に、DELFONICSロゴの刻印

ウィークリータイプ、マンスリータイプともに、DELFONICSのロゴの刻印が内側のポケットに押してあります。手作業で一つ一つ、ロゴの入った金型を革に押し当て刻印しています。

一つ一つ、手作業で「念押し」を

ウィークリータイプでは、最後に「念押し」という工程が入ります。これは、熱を加えたコテで縫い目のすぐ横にラインを施す作業。この一本が、佇まいに大きな影響を与えます。

一本のラインで、より上質な印象に

こちらが、念押しでできた一本のライン。この一本があるか無いかで、印象は大きく変わります。わずかではありますが焼き締めにより強度も上がります。細部にまでこだわり仕上げたTOKYO MADE レザーダイアリーカバー、自信をもっておすすめします。